今後の豊臣家は何をしていくべきか。
片桐は思案していた。

寺社復興事業は、秀吉の頃から続く豊臣家の家業である。
天下を治めるものは、公共事業を率先して行わなければいけないという道徳的な観念から、
武士が争いを起こしまくってあちこちを破壊してしまったので、その武家をまとめる者としての責任から、
血を流し命を賭けて平和のために貢献した沢山の兵士を弔うため、
そして人々が祈りを捧げる心の拠り所を作るためである。
それは権力を象徴する事業でもあったし、人々の心を穏やかに一つにまとめるという国家統一の為の事業でもあった。

そして、朝廷に恩を売る行為でもあった。
寺社を管理するのは朝廷であり、その門跡には臣下降藉された皇族や家督を継げない公卿の次男以下の男子が送り込まれている。
それらを保護することは朝廷にとっても非常にありがたいことであり、豊臣家が朝廷に愛された理由はそこにもあった。

さて、片桐は家康との縁が切れてしまわないようにその後も連絡を取り続けている。
今後の豊臣家について家康から助言を貰うことに成功した。
「そうしたら、しばらく頓挫してる大仏と大仏殿の再建でも進めたらどうかね?」
「大仏…ですか!」