「田んぼを作るのに重要なのは、水路の確保と堰の管理です」
この田んぼの水はどこから来ているのか、それを大野治長の弟、大野主馬首(しゅめのかみ)治房(はるふさ)が一緒に案内してくれた。
治房は城の外側部分を管理したりしている。
水を引く堰はあちこちにある。
順番に開けていかないと水があちこち溢れたりしてしまうので、非常に重要だ。
小さな水路をたどっていくと堀にたどり着く。
「ここからはあれに乗って説明しましょう」
姫たちは用意された子船に乗り込み、堀を巡る。
穏やかで暖かな日だった。
「船に乗るとすごい景色が変わるね~!」
「そうだね」
大坂城は大きい。
ぐるっと一周するだけでもすごい距離だった。
水が引かれてくる場所、水を外に流す場所、それを間近に見せてもらった。
堀を一周した後に木津川付近まで来た。
大きな関がある。
「あの堰を破壊するとこの辺りの岸辺は水に沈んで城だけが浮かぶ水城になる」
治房の言葉に重成が反応する。
「つまり敵が攻めてくる前にあそこの堰を破壊すれば防御力がアップする…」
「そういうことだ。
戦が起こらないのが一番だが、何が起こるかわからないからな」
「このような場所は他にもありますよね?」
「勿論だ」
「ぜひ教えてください!」
治房が寧々さんの方を見る。
寧々さんはニコッと笑って頷いた。