「ちょっと待ってください、寧々さま」
秀頼は寧々さんを引き留める。
「先程言いかけた事ですが、私は勉学に励み精進していずれは関白になりたいと考えています。
主上を助け上方ををまとめ関東の徳川家と協力体制を取って日の本を治めていけるようになれればと思ってます。
ですから、徳川家とは良い関係を保っていきたいと思っています」
「それは誰の入れ知恵?」
「入れ知恵と申しますか…主に九条様や鷹司様や勧修寺様などからアドバイスいただきまして、自分でもそれが良いと考えました」
「まぁ方向としては良いんじゃないかしら。
徳川殿も腹の中はわからないけど友好関係をキープしようとしてるから」
「そのためには、私に足りないことは何でしょうか?
寧々さまに教えて頂きたいのです」
「…」
「私はあの時のような失敗を二度としたくないのです」
「…あの時…か…」

あの時、それは今から約5年前のこと。
関ヶ原の戦いが起こった時、秀頼はもうすぐ7歳になろうとしていた。
幼かったため物事の理解度は低かったが記憶はしっかりある。