花のようなる愛しいあなた

完姫の輿入れが近づいて来た。
マリッジブルーというやつだろうか、完姫は最近元気がない。
千姫は完姫の部屋に遊びに行った。

完姫は溜息をついた後言った。
「なんかさ、大人しく座ってばっかだと疲れるよねー!
蹴鞠(けまり)でもしようよ」
「ええっ!?」
蹴鞠とはサッカーのリフティングみたいな貴族の遊びの一つだが女性がやるようなものではない。
「私、結構上手なんだよ?」
「すごい、私もやる!」
完子は千姫に蹴鞠を伝授しながら、思いのたけを叫ぶ。

「あーあ、行きたくない!!」
「何で?私はさみしいから完姉さまにはずっとここにいてほしいけど、完姉さまはお嫁に行くのがイヤなの?」
「だって考えてもみてよ。
顔も知らない8つも年上の公家のボンボンに嫁ぐのよ?
こーんな恵まれた環境にいて、楽しく過ごしてたわけじゃない?
それにこんな見目麗しくて家族思いの弟を毎日見てたら、他の男なんてほんとどうでも良くなってくるよね!」
「たしかに」
「お千ちゃんはラッキーだよー。
こんな見目麗しくて家族思いの夫、なかなかいないよ?」
重要な事だからだろう、完姫は2度同じことを言った。

「お千ちゃん!」
「はい!」
「私がいなくなったら秀頼はもっと寂しくなっちゃうから、お千ちゃんの明るさで助けてあげてね」
「がんばる!」
「私が色々男の子みたいな遊び得意なのって、あの子と遊んであげるタメだったの。
これからは千ちゃんが相手になってあげてね」
「…がんばる!」
「あの子はさ、自分の本心が言えない子なの。
考え過ぎて自分一人で抱え込んじゃう子だから、潰れないように支えてあげてね」
「うん」
「母さまも色々問題は多い人だけど、基本的には優しくて臆病な人だから元気づけて励ましてあげてね」
「…うん」
「あと、逆ギレに弱くて泣き出すと止まらないから気をつけて…」
「完姉、わたしちょっと不安になって来たよ…」
「あ、ごめん…」