一方で、松は重成に呼び出されていた。
「お前、どうすんの?」
「どうする、とは?」
「千姫様と同じタイミングで髪切るんだろ?」
「多分ね。
全然聞いてないけどお母さまかおばば様が手配して支度してくれるんじゃないかなぁ?」
「そっか…。
じゃぁ、俺が切ってやろうか?」
「何でよ」
「だって、俺、お前の兄貴みたいなもんだし…」
「だったら大野のおじちゃんに頼むよ」
「何でだよ!」
「だって保護者みたいなもんだし」
「そうかもしれないけどさ!」
「……」
「…だからさー、俺が言いたいのは…
あぁ、もう、分かれよ!」
重成は苛立って言った。
鬢削ぎで髪を揃えるのは、基本的に女性の夫か婚約者が行うが、相手がいない場合には父親か保護者が行うことになっている。
つまり特別な関係であることが前提条件である。
「私だってそのくらいの意味はわかってるよ…」
重成は松をまっすぐ見た。
「俺じゃダメか?」
「…わからない」
「将来有望の超イケメンだぜ?」
「…自分で言わないでよ」
「モテモテで毎日ラブレターの山!」
「モテるのは知ってるよ。
よりどりみどりじゃん。
そこから選べばいいじゃん」
「まぁ、そうなんだよなぁ。
よりどりみどり!
縁談もすっごい増えてきてるしなぁ」
「あっそ!
何の自慢!?」
重成は軽くため息をついた。
「でもさ、
俺もこんな状況で生きてきてるから
他人は正直信じられないんだ」
「……」
「心を許せる身内でないと、な」
「……」
「ま、考えとけ」
「……」
重成は松の頭を軽くポンッとして去っていった。
「お前、どうすんの?」
「どうする、とは?」
「千姫様と同じタイミングで髪切るんだろ?」
「多分ね。
全然聞いてないけどお母さまかおばば様が手配して支度してくれるんじゃないかなぁ?」
「そっか…。
じゃぁ、俺が切ってやろうか?」
「何でよ」
「だって、俺、お前の兄貴みたいなもんだし…」
「だったら大野のおじちゃんに頼むよ」
「何でだよ!」
「だって保護者みたいなもんだし」
「そうかもしれないけどさ!」
「……」
「…だからさー、俺が言いたいのは…
あぁ、もう、分かれよ!」
重成は苛立って言った。
鬢削ぎで髪を揃えるのは、基本的に女性の夫か婚約者が行うが、相手がいない場合には父親か保護者が行うことになっている。
つまり特別な関係であることが前提条件である。
「私だってそのくらいの意味はわかってるよ…」
重成は松をまっすぐ見た。
「俺じゃダメか?」
「…わからない」
「将来有望の超イケメンだぜ?」
「…自分で言わないでよ」
「モテモテで毎日ラブレターの山!」
「モテるのは知ってるよ。
よりどりみどりじゃん。
そこから選べばいいじゃん」
「まぁ、そうなんだよなぁ。
よりどりみどり!
縁談もすっごい増えてきてるしなぁ」
「あっそ!
何の自慢!?」
重成は軽くため息をついた。
「でもさ、
俺もこんな状況で生きてきてるから
他人は正直信じられないんだ」
「……」
「心を許せる身内でないと、な」
「……」
「ま、考えとけ」
「……」
重成は松の頭を軽くポンッとして去っていった。
