6月。
いよいよ千姫の成人の儀である鬢削ぎの儀が近づいてきた。
鬢削ぎとは、垂れ髪の耳にかかるサイドの部分を短く切り揃えることである。
ヘアスタイルを変えることで、子供から大人へとわかるようになっている。
大人の女性になった暁には、いよいよ秀頼との本当の夫婦生活が始まる。
「本当に良いの?」
淀殿は不安げに千姫に尋ねた。
「何がですか?」
「言いにくいけど…最近の徳川家は各大名に誓詞を書かせまくっているらしいの…。
豊臣家と徳川家がもし戦になったら…味方しますって…、
そんな誓詞をね…
勿論戦になんてならないに越したことはないけど
万が一ってことがあるから…」
昨年の二条城会見の後、家康は次々と大名家を呼び出し誓詞を書かせていた。
治長はそれを食い止めようとゆかりの大名家に文を送ったが、どの家からも芳しい答えは返ってこなかった。
喪中の浅野家からは当たり障りのない回答が戻ってきたものの
当主の代わった加藤家からは「もう連絡してこないでほしい」との拒否反応が見られた。
そして、体調がすぐれない福島正則は隠居することになり代替わりした福島家も豊臣家から距離を置こうとする方針をとったようだった。
豊臣家はますます孤立化していっていた。
「それを踏まえて聞くけど
…本当に良いのね?」
「当たり前です!!!」
千姫は力強く即答した。
「後戻りできないわよ?」
「この家に来た時から私の覚悟は決まっています!
何を言っているんですか、お義母さま!」
千姫がちょっと怒ると淀殿は安堵した表情を浮かべた。
「そうね、そうだったわね…。
ごめんなさいね、あなたには…辛い思いをさせるわね…」
いよいよ千姫の成人の儀である鬢削ぎの儀が近づいてきた。
鬢削ぎとは、垂れ髪の耳にかかるサイドの部分を短く切り揃えることである。
ヘアスタイルを変えることで、子供から大人へとわかるようになっている。
大人の女性になった暁には、いよいよ秀頼との本当の夫婦生活が始まる。
「本当に良いの?」
淀殿は不安げに千姫に尋ねた。
「何がですか?」
「言いにくいけど…最近の徳川家は各大名に誓詞を書かせまくっているらしいの…。
豊臣家と徳川家がもし戦になったら…味方しますって…、
そんな誓詞をね…
勿論戦になんてならないに越したことはないけど
万が一ってことがあるから…」
昨年の二条城会見の後、家康は次々と大名家を呼び出し誓詞を書かせていた。
治長はそれを食い止めようとゆかりの大名家に文を送ったが、どの家からも芳しい答えは返ってこなかった。
喪中の浅野家からは当たり障りのない回答が戻ってきたものの
当主の代わった加藤家からは「もう連絡してこないでほしい」との拒否反応が見られた。
そして、体調がすぐれない福島正則は隠居することになり代替わりした福島家も豊臣家から距離を置こうとする方針をとったようだった。
豊臣家はますます孤立化していっていた。
「それを踏まえて聞くけど
…本当に良いのね?」
「当たり前です!!!」
千姫は力強く即答した。
「後戻りできないわよ?」
「この家に来た時から私の覚悟は決まっています!
何を言っているんですか、お義母さま!」
千姫がちょっと怒ると淀殿は安堵した表情を浮かべた。
「そうね、そうだったわね…。
ごめんなさいね、あなたには…辛い思いをさせるわね…」
