この年の年賀の挨拶に来る大名はますます減っていた。
主上の代変わりもあり、公卿たちの足も遠のいてしまっている。
去年不幸があった浅野家や加藤家からは喪中の挨拶状のみで、福島家からは"体調がすぐれない"正則の代わりに名代が挨拶にやって来るのみであった。
「あいつ、どうせ仮病かなんかじゃないの!?
図体ばかりでかいくせに保身に走って意気地のない男だわ!!」
淀殿は不満をあらわにした。
「お方様。
片桐東市正殿と中井正清殿、文英清韓殿がお見えです」
そんな中、京都で大仏再建事業に励んでいる片桐が久しぶりに大坂城に帰ってきた。
片桐たちは恭しく年賀の挨拶を行った後、大仏殿の進捗状況を説明した。
「あの後大仏は鋳造を終えまして、金を施しましてございます」
「ついにそこまで進んだか」
「はい、大仏殿も順調に建設中でございます」
「そうか、このまま気を付けながらよろしく頼みます」
「はっ。そしてこれより梵鐘の鋳造にかかりまする。
大仏に恥じぬよう前代未聞の大梵鐘を計画しております!」
「それは楽しみだね。
材料などは不足していないか?
何か必要なものがあればすぐに知らせて欲しい」
「かしこまりました。
梵鐘の鐘銘文はこちらの清韓に依頼する所存にございます」
片桐の隣にいた文英清韓が深々と頭を下げた。
「秀頼様、お久しぶりにございます。
太閤殿下がご存命の頃からずっとよくしていただき恐悦至極に存じます」
文英清韓は、もとは加藤清正の祐筆であった。
才能があった若者は、新し物好きの秀吉の目に留まった。
そこからずっと秀吉の仕事の依頼を受けてきたこともあり、天下一の天才とまで言われるようになった。
「日本一の大仏殿に相応しい日本一の梵鐘。それに相応しい日本一の銘文を刻んでみせましょうぞ!」
清韓は自身たっぷりに宣言した。
「これは頼もしい!」
主上の代変わりもあり、公卿たちの足も遠のいてしまっている。
去年不幸があった浅野家や加藤家からは喪中の挨拶状のみで、福島家からは"体調がすぐれない"正則の代わりに名代が挨拶にやって来るのみであった。
「あいつ、どうせ仮病かなんかじゃないの!?
図体ばかりでかいくせに保身に走って意気地のない男だわ!!」
淀殿は不満をあらわにした。
「お方様。
片桐東市正殿と中井正清殿、文英清韓殿がお見えです」
そんな中、京都で大仏再建事業に励んでいる片桐が久しぶりに大坂城に帰ってきた。
片桐たちは恭しく年賀の挨拶を行った後、大仏殿の進捗状況を説明した。
「あの後大仏は鋳造を終えまして、金を施しましてございます」
「ついにそこまで進んだか」
「はい、大仏殿も順調に建設中でございます」
「そうか、このまま気を付けながらよろしく頼みます」
「はっ。そしてこれより梵鐘の鋳造にかかりまする。
大仏に恥じぬよう前代未聞の大梵鐘を計画しております!」
「それは楽しみだね。
材料などは不足していないか?
何か必要なものがあればすぐに知らせて欲しい」
「かしこまりました。
梵鐘の鐘銘文はこちらの清韓に依頼する所存にございます」
片桐の隣にいた文英清韓が深々と頭を下げた。
「秀頼様、お久しぶりにございます。
太閤殿下がご存命の頃からずっとよくしていただき恐悦至極に存じます」
文英清韓は、もとは加藤清正の祐筆であった。
才能があった若者は、新し物好きの秀吉の目に留まった。
そこからずっと秀吉の仕事の依頼を受けてきたこともあり、天下一の天才とまで言われるようになった。
「日本一の大仏殿に相応しい日本一の梵鐘。それに相応しい日本一の銘文を刻んでみせましょうぞ!」
清韓は自身たっぷりに宣言した。
「これは頼もしい!」
