「あの、本当に私たちも参加してよろしいんでしょうか?」
今年も千姫と松は早朝から中庭にスタンバイしている。
今年こそは秀頼と羽根突きをやりたい!!
と思った千姫はやる気満々だ。
「なんだかんだでここ数年羽根突き大会やってないですもんね」
「やっぱり大人数でやった方が楽しかったじゃない?」
「確かに!」
ということで、今年は歳の近いお雪と加奈が招待されたのだった。

「私、羽根突きとかやったことがないんですけど…」
「大丈夫、私が教えてあげるから!」
あれ以来、加奈は松にベッタリだ。
どうやら加奈は松の一つ下だったらしくそんなに年齢が離れていないことが分かった。

「すっかりお姉さんだね、お松ちゃん」
秀頼が笑いながら現れた。
「みんな、明けましておめでとう」
「「「おめでとうございます」」」

「ちょちょちょちょ……っ!!!
お松さん、お松さん…っ」
加奈は松の袖を引っ張って端の方に連れて行く。
「どしたの?」
「秀頼様がいらっしゃるなんて聞いてません!
「毎年恒例で遊んでたんだよ♪」
「いやいやいやいや、ムリムリ!!
絶対ムリです!!!」
加奈は冷や汗をかいてテンパっている。
「あんな尊いお方の前で羽根突きとか…」
「そっか…。
…じゃあ重さんで練習しようか!」
「そうだな!
って、おい!こら!
誰が練習要員だ!」
ノリツッコミをしながら重成が入り込んでくる
「うわぁ!重成様!!!
お松さん、ムリですよぉ、重成様も尊すぎて…
助けてください~~~~!!」
加奈が真っ赤になって慌てふためいているのを見て重成はニヤリと笑った。
「加奈…ちゃん?
よくわかった賢い子だな!
俺の尊さがわかるなんて。
どこかの誰かとは大違いだな?」
調子に乗った重成を見て松はイラッとした。

「お、重成調子に乗ってるな!
みっともないぞ!」
そこにもう一人若い男性が輪に入ってきた。
「あ、(ただす)
待ってたぞ」
「秀頼様、遅れてすみません」
「げっ!糺!
何でいるんだよ!」
渡辺糺は秀頼や重成の剣術指南をしているアニキ的存在だ。
「秀頼様からお誘いいただいてね。
ありがたく」
「糺は教えるのが上手だから」

普段剣術の指南役だけあって、糺は教え方やまとめ方が上手だ。
緊張していたお雪や加奈も次第にぎこちなさが取れてきた。
2人はすぐにコツを覚え打ち合いも続くようになった。
最初は円になってみんなで交互に羽根を打っていたのだが、
その内に重成と糺がムキになって来て高速ラリーが始まっていた。
いつの間にか侍女や小姓たちなどギャラリーが集まり大盛り上がりとなってしまった。
加奈やお雪もすっかり緊張が解け、ゲラゲラと笑っている。

白熱のラリーを結局気合いで制したのは糺だった。
「まだまだ負けるわけにはいかないからな!」
「ちっくしょ〜!!
いつか負かしてやるからな!」