一方、丁度その頃の朝廷では再び大変な事態が起こっていた。

一昨年、朝廷の女官と不義密通事件を起こし京都から追放したはずのチャラ男・猪熊教利がいつの間にか勝手に京都に戻って来ていて、仲間のチャラ公家たちと謀って朝廷内で乱交パーティを繰り広げてしまったのだ。
不義密通どころではないこのスキャンダルに後陽成天皇はそれはもうかつてないくらいブチ切れた。
「ふざけんじゃねえぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!!」

天皇がお飾りであろうとも、どうしてこうやって奉られているかといったら血の正統性があるからである。
血統が古く確かで尊いからこそ、天皇の価値があり威信を保っていけるのだ。
しかし、それが朝廷内で府議密通が罷り通り誰の子かわからないような子供が育てられていると発覚なんてしでもしたら、朝廷の信頼は揺るぐし、威信も何もあったものではない。
そうしたら勅命なんて何にも価値がなくなってしまい国家は根本的に揺らいでしまうことだろう。

朝廷の面目を丸潰れにされた後陽成天皇は徹底的に事実関係と関係者を突き止めさせることにした。
幕府はまたも理由を付けて調査を嫌がった。
「早く調べさせろ!
幕府がやらないなら、幸家、お前がやれ!!」
鷹司信房の後任として昨年末から関白になってしまった九条幸家は主上を宥めながら朝廷と京都所司代を往復することとなる。

もうすぐ九条家には第二子が産まれる。
あーぁ…。
早く帰りたいなぁ…。
幸家は心から願った。

公家たちが自ら調査を始めると厄介なので、幕府はようやく重い腰を上げ調査を開始した。
すると、どうやら沢山の公家や女官が事件に関わっていることが発覚してしまった。
「公家たち、ヤバくない?」
「引くよねー…」
醜聞はすぐに京都中に広まった。
朝廷の信頼はガタ落ちだ。