会話をしたくて話しかけると課長は、
ウトウトしていた。疲れているのかしら?
課長は、ハッと気づくと目を擦っていた。

「課長…良かったら寝ていて下さい。
着いたら起こしますので」

疲れているのなら少しでも休んでて欲しい。
わざわざ私のために計画をしてくれた
課長に申し訳ない。

「うん。悪い…最近忙しかったから」

そう言ってまた、ウトウトし始める。
本当に眠そうだなぁ……。
そう思いながら見ていたら
課長が私の肩にもたれかかってきた。

「………。」

黙りながら、寝ている姿を眺めていた。
ゆっくりと時間が過ぎているように感じた。
寝顔がとても可愛らしくて素敵だ。
心臓がドキドキと高鳴っていた。

しばらくすると目的地まで着いた。
課長は、あくびをしながら目を覚ました。

「悪い…寝ていた」

「フフッ……大丈夫です。
さあ、バスから降りましょう」

恥ずかしさを誤魔化すように
外に出ようと誘った。
バスから降りると目の前には、ビニールハウスが
たくさんあって、これから苺狩りをするのだと
実感する。

バスガイドさんに詳しく説明されて
甘い練乳が入った器を貰う。
なるほど、収穫していいのは、あくまでも
自分が食べれる分までらしい。
お土産用は、別売りになるとか
なら、考えて穫らないといけないわね。

ビニールハウスの中に入ってみた。
甘くて美味しそうな苺がたくさん実っていた。
思わずテンションが上がってしまう。

「凄い…美味しそう。
どれぐらいたくさん食べられるかしら?」

「どれも美味しそうに育っているよね」