元気よく返事をしてくれたので
自然と俺も笑顔になる。
背広を着ると営業の準備をした。

「今から営業に行くけど
1時間後に高村さんから連絡が来ると思うから
2時間後に帰ると伝えておいてくれ」

他の人に言付けをする。
次に何があるのか大体分かっていると
対策も練りやすい。こうやって
部下に言付けも出来るから
そして、まどかを連れて営業に向かった。
さてあのことも伝えないと……。

歩いていると後ろでまどかは、話すタイミングを
必死に考えていた。よし、今がチャンスだ。
彼女をそれとなくデートに誘おう。
気持ちを整えるように深呼吸する。

「まどか。俺は、苺狩りに行ってみたいな。
今度の日曜日とかどうだい?」

「あの…苺狩りとは、何でしようか!?」

読まれたと思い慌てる彼女は、また可愛らしい。
思わずクスッと笑ってしまう。
バレてるよ……君の考えていることは。

「何ってデートの場所だよ。
デートに誘ってくれるのだろ?」

さらりと言ってみたが内心ドキドキしていた。
間違っていないし、喜んでくれるはずなのに
彼女の言葉が気になってしまう。

「は、はい。」

頬を赤くするまどか。恥ずかしそうにしながらも
喜んで笑顔を見せてくれた。
俺は、ホッと胸を撫で下ろした。

彼女と苺狩りの具体的な内容を話していたら
フッと映像が見えた。
とうとう来てしまったようだった。
例のアイツが……。

「課長。どうかなさいましたか?」

急に立ち止まる俺に
心配そうな表情をするまどか。

「どうやら、招かざる客が来たようだ。
君の親友・美里さんに」