アハハッと笑う課長に確かに
1人だと食べに行きにくいだろうと思った。
あれ?ってことは……。

「課長さんって独身なんですか?
彼女は?」

美里が鋭い質問してきた。
すると課長は、ニコッと笑顔で
「残念だけど独身だよ。彼女も居ない」と言って
教えてくれた。

独身で彼女が居ない…?
そう聞いたら何だか胸がキュンとなった。
嬉しいと思った。

「じゃあ、もし彼女が出来たら
結婚したいと思ってたりしますか?」

美里は、また鋭い質問をしてきた。
どうやって切り返すつもりだろうか?
私は、チラッと課長を見ると目が合った。
するとクスッと微笑まれる。
急に微笑まれたから心臓がドキッと高鳴った。

「そうだな。父親も早く結婚して身を固めろと
うるさいし…縁が合ったらしたいかも」

そう言って答えてくれた。
私は、その言葉を聞いた時、
また心臓がドキドキと高鳴った。
課長は、結婚したいという意思はある。

「あの……」

話しかけようとしたら
課長は、急に手を合わせて黙り出した。
あっ手を合わせている!?
そうだった。課長は、食事をする時に合掌をする。
ジッと見ていると課長は、静かに目を開けた。

「さて、全ての命に感謝して頂こう。
いただきます」

課長の食べる時の姿勢は、いつも感心してしまう。
食べ方が綺麗だし、何より
食材そのものに感謝して食べるから。

すると美里が急に思い出したかのように
「あ、いけない。早く帰って
仕上げないといけない資料があったのだったわ!?
帰らなくちゃあ…」と言ってきた。

「えっ?ちょっと美里…帰るって」

私は、慌てて止めようとすると
「まぁ、そういう事だから後は、2人でよろしく」
ニヤリと笑うとさっさと立ち上がり行ってしまった。