彼女は、成仏を申し出た。
本当に…いいのか?
本当に、これで納得をしてくれたのだろうか。

『本当は……分かっていたんです。
こうなる事は……あの子達とは、
ずっと一緒だったから。
だけど…私の存在をあの子達に残しておきたかった。
簡単に忘れてほしくなかった……。
ごめんなさい。私…悪い子だから』

違う。君は、いい子だ。
やり方を間違えたけど……本当は、優しい子だ!
それは、記憶でもゆいかちゃんに
優しくしてあげたのを見て分かっていた。
だから、自分を悪く言わないでほしい。

『……ありがとうございます。
お願いします。私を成仏させて下さい』

麻衣ちゃんは、涙を出しながら
そう口に出した。麻衣ちゃん……。
俺は、グッと歯を食いしばった。

「どうやら彼女も分かってくれたようだ。
そして、最期の時間だ」

まどか達にそう告げた。
スッと手を合わせると念仏を唱えた。
俺は、願いを聞き入れる事にした。
お経を唱えると身体が薄くなっていく麻衣ちゃん。

『ありがとうございます。
あの……最期にお兄さんに会えて
本当に良かったです。あのお姉さんにも
私のために言ってくれたり、動いてくれたこと
凄く嬉しかったです。迷惑かけて……ごめんなさい。
ありがとう……』

そして消えて行った。
最後の念仏を唱え終わると数珠は、床に落ちた。
麻衣ちゃんは、成仏したのだ。
俺の手で……。ごめんな。麻衣ちゃん。
何の役にも立たない俺で……。

「無事に…成仏出来ましたか?
麻衣ちゃん」

「あぁ、泣いていた。
彼女の痛みや苦しみを思うと本当に…心が痛むよ」

まどかは、心配そうに尋ねてきた。
俺は、静かにそう答えた。こんな終わり方はない。
無力な自分に押し潰されそうになる。
すると取り憑いていた亜澄って子が目を覚ました。

「亜澄…大丈夫!?」

女の子達は、彼女の心配をしていた。
まどかも慌てて彼女のもとに
駆け寄ろうとした。だが
「こ、こないで。化け物!!」と言われてしまう。