こんな風には、したくはなかった。
彼女は、何も悪くないのに…。
歯を食いしばる思いだった。
引き剥がした麻衣ちゃんは、泣いていた。

「ひぃっ!?
い、一体…何なのこれ?」

「か、課長。どうなったのですか?」

怯え出す女の子達。
まどかは、オロオロしながら俺に声をかけてきた。
内心は、パニックになっているが……。

「大丈夫。亜澄ちゃんは、気絶しているだけだ。
麻衣ちゃんは、引き剥がしたが。
まどか…カバンから長めの数珠を取ってくれ」

まどかに数珠を取ってくれと頼んだ。
取りに行ってもらう間に
麻衣ちゃんの心の中に話しかけた。

手を出してすまない。
しかし何で我慢が出来なかったんだ?
しない約束だっただろう?

『……だって……許せなかった。
私が…死んでも…悪いと思わない…アイツらが』

そう言った彼女の目は、さらに
大粒の涙が流れていた。我慢……?
俺、何を言っているんだ?
麻衣ちゃんは、たくさん我慢をしてきた。

そんな彼女をさらに我慢させるのか?
もっと他にあるだろ。彼女を救う言葉が……。
するとまどかが数珠を渡してくれた。
俺は、お礼を言うと数珠を受けとり
麻衣ちゃんの首にかけてあげた。

つまり爽太君と同じで他の人から見たら
空中に浮いている事になる。
そこに麻衣ちゃんが居ると言う証だ。

「キャアッ?宙に浮いてる…何で!?」

「そこに佐野麻衣ちゃんが居る。
君達がイジメて自殺に追いやった子だ」

浮いている数珠に怯える女の子達に
俺は、説明した。
するとさらに怯え出していた。