するとカレーを食べながらある疑問が生まれた。
どうして課長は、この会社に働いているのだろうか?
住職様なのに……。
私は、それが不思議でならなかった。

「あの…1つ聞いてもよろしいでしようか?」

「うん?あぁ本職は、お寺の住職。
こっちは、副業だよ!」

えっ?まだ質問すらしてない。
課長は、言う前にアッサリと答えてくれた。
また心の中を読まれてしまったようだ。

「どうしてですか?」

「今のご時世…檀家さんも少なくなってきたからね。
副業に教師や経営者になるのは、よくある話だ。
副業をしなくても済む寺なんて
よほど有名な寺か大きい所だよ!
ウチみたいに小さい寺は、副業をしないと
経営が難しいからねぇ~」

しみじみと課長は、そう言ってきた。
そうなんだ……。
お寺は、何処も住職だけで生活をしているものだと
思っていた。今のご時世は、
お寺も大変なんだなぁ~と意外な裏事情を知った。

課長は、それで保険会社に就職したんだなぁ~。
でも、何で保険会社にしたんだろう?

「それは、死んで逝った
幽霊を見てきたからだよ!」

えっ?何故……幽霊?
課長の言葉に首を傾げた。
また怖いことを……。

「よく霊が言うんだよねぇ~。
〝もう少しまともな保険に入っておくべきだった〟って」

「………。」

「後悔先に立たずって言うのかな?
後になって色々と気づくもんだよ。
俺は、そうならないように
本人や家族に負担を少なくさせたいんだ」

そう話す課長は、優しい笑顔だった。
私は、その笑顔を見て課長は、
とことんまで住職様なんだなぁ~と思った。
霊と寄り添うと言うか残してしまった家族に
伝えようとする気持ちとか。不思議な人だな。