こんなの本心ではない。
そんな事を言ったらダメだと分かっているのに
口が止まらない。
「課長には、分からないですよ!
私の気持ちなんて
不安に思う人の気持ちなんて分かる訳がない」
そう言ってしまう。ううん。言ってしまった。
泣きながら課長の顔を見る。
すると…酷く傷ついた悲しい表情をしていた。
私は、衝撃を受けた。
傷つけてしまった…課長を。
「ご……ごめんなさい」
私は、逃げるように資料室から出て行く。
そして、人気のない場所まで行くと泣き崩れた。
不安になり課長に酷いことを言うなんて……。
こんな私は大嫌い。大嫌いだ。
その後。泣き止んだがこんな気持ちのままで
仕事なんて出来ない。
部署に戻ると体調不良で早退すると
日比野さんに伝言を頼み帰った。
自宅に帰るとそのままベッドにダイブする。
声を必死に押し殺すように泣いた。
もう辞めようかな…会社。
こんな事を考えてしまう私は、酷く弱い人間だ。
情けない……自分自身が。
それから次の日も会社を休んだ。
泣き過ぎて本当に体調を崩してしまったからだ。
布団に潜りながら眠りにつくと不思議な夢を見た。
周りを見ても真っ白で何もないような場所だった。
「ここは……何処?」
『ここは、あの世と現世の狭間だよ』
えっ?後ろ振り向かえると
男の子と女の子が立っていた。
小学生ぐらいだろうか?
いや、それより今…なんて?
「あの……今なんて言ったのかな?あなた達』
『だ~から、あの世と現世の狭間って言ったの。
ねぇ、お兄ちゃん』
女の子がそう言うとクスッと笑う男の子だった。
お兄ちゃんってことは、兄妹だろうか?
でも年齢は、一緒ぐらいに見えるから双子?



