周りの人達も同意してくれていた。
彼女の気持ちに胸が締め付けられそうになる。

「一生懸命やっているようには、
どうしても見えないわよ?
大体この仕事を副業にしていること自体
おかしいじゃないの」

「課長は、多くの死者の言葉を聞き
彼らの気持ちを代弁してきました。
そこに、この仕事が大いに役に立っています。
そういう思いやりがある人が、この会社には
必要なんです。だから
そんな言い方をしないで下さい!!」

彼女は、必死になって叫んでいた。
涙を溢れさせながら。その想いが嬉しい。
俺を守ろうとしてくれている。
ありがとう……まどか。

「あぁ、確かに馬鹿馬鹿しいのかも知れないな。
しかし、まどかやここに居る皆さんの優しさが
俺の支えになってくれている。
確かに会社には、利益や名誉が必要なのかも知れない。
だけど、社員の1人1人の気持ちや
意見を尊重が出来ない会社は、いずれ不満や
亀裂を生む。俺の部下は、皆思いやりのある
素晴らしい人達ばかりだ」

会社の利益や名誉ばかり優先して
ブラック企業だと言われたり不祥事を起こす会社は、
後をたたない。それは、部下達の気持ちを無視して
耳を傾けない結果だ!
しかし俺の部下は、そんな心配はいらない。
まどかも含め皆、大切な仲間だ。

「あ、あなた……本気でそんな事を言っているの!?
せっかく社長に気に入られ秘書になれる
チャンスがあるのにチャンスを無駄にするなんて」

まだ、納得のいかない様子の志藤だったが
俺は、クスッと笑みをこぼした。
確かにそうかもしれない。
まどかは、心配そうに俺を見ている。

「確かにチャンスを無駄にしたのかも知れない。
だが俺は、それで満足している。
皆が居てまどかも居てくれる。
それに…秘書は、俺に向いていない」

「秘書は、あなたに向いていない…?
どうして!?」

「俺は、少し変わり者でね。
余計な事に首を突っ込みたくなるから
秘書だと務まらない。
もちろん本業を優先してしまうのもあるが
それよりも秘書なら志藤。
あなたの方が向いてると思い推薦しておきました」

「な、何をふざけた事を言っているのよ!?
私が秘書って…」

動揺している志藤に俺は、ニコッと微笑んだ。
それで悟ったのだろう。
志藤は、眉を寄せていた。