「カンナ…眠れないのか?」

「は、はい。」



そりゃあ、そうでしょう。
今日は、いろいろとびっくりすることがあったんだから。
中でも、アルバートさんが王子様だったっていうのは、ものすごく衝撃だったよ。



宿の部屋は、今回も私とネイサンさん、アルバートさんとオスカーさんに別れている。
最初は、男性と同じ部屋ってことに抵抗があったけど、アルバートさん達は私を男だと思ってるし、ネイサンさんと兄弟だと思ってるから、仕方がないと諦めた。
まぁ、ネイサンさんは気配りのある人だから、特に問題はないし。



「良いか、カンナ…
男達にかどわかされたことは絶対に行ってはならないぞ。」

ネイサンさんが言いたいことはわかってる。
もしかしたら、私が魔法の力を復活させる重要な人物じゃないかって思ってるんだよね?



「はい、あ、あの…ネイサンさん…
魔法の力の復活って話でしたが、ってことは、昔は魔法の力があったってことなんですか?」

「なに?そんなことも忘れてしまったのか?」

「え、えぇ…まぁ…」

ネイサンさんは、小さな溜め息を吐いた。



「魔法の力があったのは、もちろん私達が生まれるずっと以前のことだ。」

「何百年も昔ってことですか?」

「そうだ。」

ネイサンさんは、ごく当然って様子でそんな話をした。
いや、魔法なんて、お伽話や神話の中でのお話ですから。
つまり、現実にあるものじゃない。
ファンタジーよ、ファンタジー!
何百年前にも、魔法なんてなかった。
それなのに、なぜ??