「ありがとうございます。嬉しいです。
私……本当はすごく心細くて……」

「それは当然のことだ。
私にはたいしたことは出来ないが、君を見捨てるようなことはしないから。」

その言葉に、胸がいっぱいになった。
こんな状況で、普通、そんなこと言う??
まるで、昔の騎士みたいじゃない?



(あ……)



その時、私は突拍子もないことを思った。
もしかしたら、私はタイムスリップしたんじゃないのか?って…



でも、そんなはずはない。
ネイサンさんは、大きな大陸がふたつしかないって言ってたもの…



あ!
でも、もしかして、この時代にはまだ文明も遅れてて、それで、正しい情報を得られない状態なんじゃ…?
もしくは、コロンブスがアメリカ大陸を発見する前の時代とか…



「あのネイサンさん…今は西暦何年ですか?」

「西暦…?」

「いえ、間違えました。
何年ですか?」

「今は、赤い蛇の48年だ。」

「え……」



なにそれ!?赤い蛇の年って、一体どういうこと??
全然わからないんですけど…



「年号も思い出せないのか?」

「は、はい。」

いや、本当ははっきりと覚えてる。
令和になったばかりなんだもの。
だけど、そんなことを言っても、ネイサンさんを混乱させるだけだから、もちろん言わない。