(陛下…どうぞ、安らかにお眠り下さい。
あなたのモルガーナはもうなくなりましたが、私は、オズワルドと共にこの国と民を守っていきます。
あなたの妹君も大切にするわ。)



空は青く澄み渡り、可愛らしい小鳥が囀りながら飛び去って行く…



まさか、こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
私は、なぜ、呼び出されてすぐに陛下を刺さなかったのだろう?
なぜ、こんなにも手間と時間をかけてしまったのだろう?



本来ならば、復讐はすぐに済むはずだった。
けれど、これだけの時間と手間をかけたからこそ、ここまでの大業をなすことが出来たのだ。



何も、権力が欲しかったわけじゃない。
そんなもの、望んだことなど一度もない。



だけど、私はこうして大きな力を得た。
それならば、その力を無駄には出来ない。
私は、この力で、この国を…そして民を幸せにしようと誓った。



もしかすると、それこそが私の使命だったのかもしれない。



ここへ来て、エドワードに会った時…私は、こいつからすべてを奪ってやろうと思った。
自信に満ち溢れたエドワードを簡単に殺すのはもったいないと思ったからだ。



エドワードの目論見はすぐにわかった。
だから、医師・マクソンを抱き込み、ジョシュアの子を懐妊したと嘘の報告をさせた…
そして、陛下を誘惑し、私は陛下の子を本当に懐妊した。



仇の子を宿すことはとても苦しいことだったけど…
でも、そうしないことには私の計画は進められなかったのだ。



私は、オズワルドを愛しているのだろうか?
あの時、もしも、エドワードがかばわなければ、オズワルドはどうなっていただろう?
私は、本当にオズワルドを刺していただろうか?
それとも、エドワードがオズワルドをかばうことを信じていたのだろうか?



私にはその答えが今もわからない。



「王妃様、そろそろ、謁見にお戻りください。」

「……わかりました。」



いつかわかる日が来るだろうか…その答えのわかる日が…