「それで、その国は誰が治めるんです?」

「オズワルド王子はまだお小さいから、王妃様が摂政となっておさめていくんじゃないか。
王妃様は、ただ美しいだけじゃなく、とても賢いお方だからな。」

「そうですか……」

王妃の評判はとても良いみたいだ。
この分なら、新しい国を平和な国に導いてくれることだろう。







モルガーナの城下町は、いつもと少しも変わらず、少し前に叛乱があったことを微塵も感じさせない。
イズルからの報告によると、そもそも、モルガーナには叛乱軍は攻め込まなかったということだ。
それ自体、とてもおかしなことだが…



モルガーナの城も、当然、変ってはいない。
ただ…今までの国旗だけが変わっていた。



私は、王妃との婚姻の時に、一度だけ見たエドワード王のことを回想した。
威厳と自信に満ちたエドワード王のことを…



あのエドワード王が亡くなったとは、今でも信じられない気分だ。
魔法を復活させ、ファーリンドをも手に入れるという志半ばで死んだことは無念だろうが、愛する王妃と息子を救えたのだから、きっと満足して逝けたことだろう。



冷酷な王だと聞いていたが、それはただの噂だったようだ。
自分の身を犠牲にしてまで、王妃と、血が繋がっていないかもしれない王子を護ったのだから。



「アルバート様、王妃にお会いになられますか?」

「約束も取り付けず、急に謁見できるのか?」

「はい、王妃は身分に関わらず、どんな者とも謁見なさいます。」

「そうか…それでは、会いに行ってみよう。」