「王様…オズワルド様は、お小さい頃の王様に瓜二つでございますね。」

侍従長のチャールズが、目を細め、そう言った。
先王の時代からこの城に勤めていた者で、余が生まれた頃からずっと知っている。



「……そう思うか?」

「ええ…お顔は、どちらかというと王妃様に似ていらっしゃいますが、仕草やちょっとした表情は、まさにお小さい頃の陛下にそっくりです。
それに、好きなものも王様と同じでございますね。」

そのことには、余も気付いていた。
食べるものや音楽の好み、負けず嫌いな性格等、オズワルドは確かにとても余に似ている。
今、読んでいる絵本も、余が幼い時に気に入っていたものだ。



オズワルドのことは、可愛いと思っている。
これまで、余は愛情を持って彼を育てて来たと思う。
しかし、侍従長の言葉には、不安が募る。



なぜならば、オズワルドが余に似るはずなどないからだ。
オズワルドは、魔女の血を引いているジョシュアの子だ。
余に似るはずがないのだ。



そのことを、アンジェラに話したことがある。
すると、彼女は笑った。
一緒に暮らし、愛情を注いで育てていれば、動物でさえ飼い主に似るものだ、と。
その言い分には、余も納得するところがある。
しかし、それでもやはりどこか不安でもある。
母親は、我が子かどうかを間違える道理はないが、父親というものは悲しいかな、そういう確信が持てないものなのだ。