「カンナ、今日も遅かったのね。」

「うん、まぁね。公演が迫ってるからね。」

「とにかく早く入りなさい。お腹すいてるんでしょう?」

「いつもありがと!」



両親は、私の夢を応援してくれている。
特に、ママは若い頃、アイドルになりたかったらしくって…
だから、私に自分の果たせなかった夢を託してるような感じもある。
実は、私の弟は、モデルかアイドルみたいに格好良くて…
そんな弟にはたくさんの事務所からスカウトの誘いが来ているのだけど、本人は全くその気がないらしい。
パパに似て、そういう華やかなことよりも、何かを書いたり作ったりすることが好きみたい。



「ケント、初日には見に来てくれるのよね?」

「バイトが休めたらな。
っていうか、家族揃って見に行くなんて、なんか恥ずかしいだろ。」

「何が恥ずかしいのよ!
お姉ちゃんの晴れ舞台なのに。」

「そうだぞ、こういう時はみんなで行かないと!」



ケントは、両親の言葉に呆れたように肩をすくめた。