クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?

「それにしてもカンナ…
今日は、本当にありがとう。」

「え?何のことですか?」

「私が階段を踏み外した時のことだ。
あの時、君が止めてくれなかったら、どうなっていたことか……」

「いえ…あの時はとにかく必死で……」

火事場の馬鹿力…みたいなもんだよね。
とにかく必死だったから。



「あそこの階段は、もしも転げ落ちたら、なかなか止まらないように出来ているんだ。
最初に言っただろう?大きな声が聞こえたら、階段の隅に寄れって。
そうでなければ、巻き込まれて一緒に落ちてしまうからだ。」

えっ!?そうなの?
そんなこと、知らなかったよ。
知らなくて良かった。
知ってたら、逆に焦ってしまって、止められなかったかもしれない。



「君は、命の恩人だ。本当にありがとう。」

「い、いえ……」

なんだか照れ臭い。
それに、アルバートさんの役に立てたことで、なんだか嬉しかった。



「それで、カンナ…
祈りはしっかり出来たのか?」

「……はい。」

「記憶のことを祈ったんだな?」

「……いえ。」

「違うのか?どうしてだ?」

「はい、そのことよりももっと大切に思えることが思い浮かんだので…」

「……そうか。」

アルバートさんは優しい顔で微笑んだ。