「何度言ったらわかるんだ!
そうではない。
もっと腕をまっすぐに伸ばして!」

「は、はい。」



大量の汗を流すカンナが答える。
どこか怯えたようなあの目をみると、可哀想にも思えるのだが、厳しくせねば上達しない。



カンナは、踊る時はとてもしなやかで軽やかなのに、それ以外ではどうも動きが芳しくない。
特に剣術と格闘技は酷いものだ。
運動神経が悪いというわけでもないと思うのだが…



「……少し、休憩しよう。」

「はいっ!」

また甘い顔を見せてしまった。
休憩と言う言葉を聞いた時のカンナの嬉しそうな顔には、呆れてしまう。
どうやら、カンナは剣術があまり好きではないようだ。



「アルバートさん、午後はこの間の文字の練習の続きをしませんか?」

「文字か……」

今日は、部屋の中にいるのはもったいないような好天だから、剣術の稽古を…と思ったのだが、カンナはそんなことは気にしていないようだ。
いや、それだけ剣術が嫌いだということか…



「……わかった。ではそうしよう。」

「はいっ!」

満面の笑みを浮かべカンナは返事をした。
その露骨さに、私は思わず失笑してしまった。