クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?

なんとなくネイサンさんが怖くなって来て、私は黙り込んでしまった。



「……カンナ……君は、一体、誰なんだ?」

「えっ!?だ、誰って……」

ネイサンさんの目が怒ってる…
気付いたんだ…あのボタンのこと…



「あ…あの…私……」

「君は、異界の者なのか?
あの魔方陣とかいうものに召喚されたのか!?」

そこまで言われたら、私もいつものように笑って誤魔化せるはずもなく…



「ご、ごめんなさい!
記憶を失ってるっていうのは嘘です!」

「なぜ、そんな嘘を吐いた?」

「悪気があったわけじゃありません。
私も…状況が掴めなかったんです。
私…舞台に出ていて、クローゼットの青い光の中に飛び込んだら…
さっきのあの部屋にいたんです。
何がなんだかわからなくて…
とにかく、必死であの部屋から出て…ほ、本当です!
信じて下さい!」

ネイサンさんは、じっと私の目をみつめてた。
その真っすぐな視線にいたたまれなくなって、目を逸らしそうになった時…



「それでは、君は芸人なのか?」



(芸人?)



なんか、少し違うような気もするけど…
ここでは、芸人ってことなのかな?



「はい、まぁ、そんな感じです。
芸人っていうか、役者のたまごです。」

「そんな青い光の中に飛び込むのは、危険だと思わなかったのか?」

「はい、それが…ちょうど、その日の出し物は、主人公の若い女の子がおばあさんの家を訪ね、屋根裏部屋の古いクローゼットに飛び込んだら、異界に行ってしまう…というお話だったんです。」

「異界に?君は、異界に行くことを最初から知っていたのか?」

ネイサンさんの顔がまた厳しくなった。