クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国(パラダイス)~これってもしやシンデレラストーリー!?

「残念ながら、そのどちらも知ることは出来ません。
しかし、ここのことは長い間、誰にも知られていませんでした。
記録もなく、国王陛下でさえご存知なかったことですから、おそらくはまだ魔法のあった時代に使われたのではないでしょうか?」

「いや、私はそうではないと思う。
数か月前、兵士がここに見回りに来たが、異変は何も報告されなかった。
そもそも、私でさえもこの城に地下があったことは知らなかったくらいだ。
そうだ…それに……」

アルバートさんは、扉の閂を指し示した。



「おぉ…迂闊だった…今、気が付いた。
見よ、あの通り、内側には閂がかかっている。
それが、今回は外れていた。
つまり、何者かが開けたということになる。
しかし、外からは当然開けられない。
すなわち、この魔法の円を使った者が開けたのだ。
何者かが、あの円を使い、ここに召喚されたのだ…!」

部屋の中の空気が一瞬で凍り付いたようだった。
それは、私です!と言ってしまえば楽だけど、そんなことはとても言えない。
どうしよう!?
まさか、それが私だなんてバレるはずはないと思うけど、アルバートさんが真実に近付いたことで、なんだかとても怖くなった。