「ジョシュア…暇なら、一杯やらないか?」

「……そうだな。」

俺は、ネイサンと一緒に、部屋に向かった。



船での暮らしも、いつの間にかもう三週間が過ぎていた。
あと一週間でファーリンドに着くかと思ったら、なんだか心がざわつく。



ある時、俺はアルバート様に率直に訊ねた。
俺を殺す気なのか?と。
それは仕方のないことだと思っていたし、覚悟のようなものも出来ていた。
エドワード王に飼い殺しのされるくらいなら、いっそ、殺された方が潔い。
しかも、ファーリンドを救うためにもなるのだとしたら、本望だとも言える。
こんなくだらない俺にも、出来ることがあるのなら、それで良い、と。



しかし、アルバート様の答えは意外なものだった。
俺のことは殺さないばかりか、保護すると言われたのだから。
なんでも、それは遠い昔のことによるもので、当時、モルドから逃げて来た魔女をオルリアンの王様が助けたことに端を発する。
王と魔女たちの間には信頼関係が築かれていたようで、アルバート様はそのため、俺のことも保護するとおっしゃった。



「君が、モルドの魔女の血を引く者だったら、きっと殺していたと思う。」



その言葉を聞いた時は、さすがにぞっとしたが、その反面、アルバート様は誠実な方だと思う。
誠実な方だからこそ、そういうこともはっきりとおっしゃるんだ。