「王妃は一体、何を企てていると思う?」

「皆目わかりません。
ジョシュアの言ったことが嘘ではないとしたら…王妃が何かを企てていることは間違いないと思えますが、それが何かとなると…」

ネイサンはそう言って、小さく首を傾げた。



「そもそも、王妃は、エドワードの目論見を知っているのだろうか?
ジョシュアは何も知らない様子だったが…」

「エドワード王が、そんなことをそう容易く話すとは思えませんが、しかし、何も知らずに、王妃にしてくれと言いだすのも不自然です。
やはり、王妃はエドワード王の真意を知った上で、何らかの取り引きをしたのではないでしょうか?」

「……そうだとしたら、どうやら、相当に危険な女のようだな。」

「はい、注意せねばいけませんね。
それはともかく、ジョシュアがみつかったことは良かったですね。
どう致しますか?
この航海中に始末しますか?」

「……いや、それは出来ない。」

「ファーリンドに着いてからということですか?」

「そうではない。」

私がそう言うと、オスカーは怪訝な顔をした。



「では、いつ…?」

「ジョシュアは殺さない。」

「えっ!?」

「オルリアンで保護する。」

私の言葉に、ネイサンもオスカーも、とても驚いたような顔をしていた。