「では、そちらの円の中央へ膝を付け……」

エドワード王は、部屋の中央に描かれた円を指し示した。
円の中には、模様とも文字ともわからないものがびっしりと書き込まれている。
これから何が起きるんだ?
見当もつかないが、きっと悪いことだ。
この胸騒ぎは、数年前に詐欺がバレた時のものよりもうんと大きい。



「……良いか?私が良いと言うまで目を閉じたまま、そこにじっとしておるのだ。」

「は、はいっ!」

俺は、固く目を閉じた。
次の瞬間……



「……うっ!」

金属音…そして風を切る音がして、俺は腕に火の付いたような痛みを感じた。
剣で切られたのだ。
痛みと共に、生暖かい血が腕を伝うのを感じた。
まさか、エドワード王は俺を殺すつもりなのか?
心臓が飛び出しそうに激しく脈動する。
でも、殺すなら最初から腕なんか狙わないはずだ。



(うん、大丈夫だ。)



怖くてたまらなかったが、それでも俺は目を開けることはしなかった。



「おぉ…!」

エドワード王の声がしたと思ったら、閉じた目の奥に光を感じた。
目を閉じていても、こんなに感じるんだ。
きっと、部屋の中は明るい光に満たされているのだろうと推測した。