「なんだって!?
アンジェラ…あんた、頭でもいかれたのか?」

「……いいえ。私は正気よ。」

「……はぁ?」



アンジェラは機嫌の良い顔をしているが、どう考えてもおかしい。
だって、あいつ…この国の王妃になるって言ったんだから。
そもそも、どこかおかしな奴だとは思ってたんだ。
俺とあいつは清い仲だっていうのに、いつの間にか誰の子かわからない子を孕んだらしく、王にはそれを俺との子だって伝えたんだ。
王にそんな嘘を言って、あとでバレたらどうするつもりなんだろうって心配してたら、今度は、さらに、突拍子もないことを言い始めた。



「私は、エドワード王と婚姻し、この国の王妃になるのよ。」



本当におかしなことを言う。
エドワード王には妻がいる。
王妃になんか、なれるはずがない。
いや…王妃は体調が悪いらしいから、万一のことでもあれば確かに可能性はあるかもしれないが…



(えっ!?そ、それじゃあ、まさかこいつ…王妃様を殺めようとでも思っているのか!?)



さすがにそれは考え過ぎか…
王妃には護衛が付いている。
そう簡単に殺められるはずもないし、そんなことをした者をエドワード王が王妃に迎える道理もない。