「アルバート様!わかりました!」

湖の傍に着き、その近くの町で話を聞き込んだところ、ついに王族の別荘らしきものがある場所を特定した。



「明日、早速、見に行ってみよう!」







次の朝…まだ夜が明けきらないうちに宿を出て、私達は情報の場所を探しに向かった。



「あ!あれではありませんか!?」

イズルが指さした森の先には、確かに立派な建物の一部が見えた。



「アルバート様、私が道に迷ったふりをして、少し聞き込んで参りますので、こちらでお待ち下さい。」

「わかった。では、ネイサン…頼んだぞ。」

「はい、行って参ります。」

馬を降りたネイサンは、建物の方へ歩いて行った。
私達は、少し離れた森の木陰で、ネイサンが戻るのを待つ。



「アルバート様、確かにこの立地は、王族の別荘には持って来いですね。
ネイサンの勘を信じて正解だったかもしれませんね。」

「そうだと良いのだが……」



私の心の奥底には、みつからないでほしいという想いもあったのかもしれない。
もしも、みつからなければ、私は手を汚さずに済む。
ただエドワード王に利用される罪なき者を葬ることは、正直言って、とても気が重いのだ。



(何を気弱なことを…私は、オルリアンの王子として、ファーリンドを守るため、やらねばならないのだ!)



私は、心の中でそう叫んだ。