「明日、城へ向かいます。」

「えっ!?城へ?
そんな…勝手に城に行ったりして良いのか?」

「勝手にじゃないわ。
すでに、使者を向かわせて、今日、返事が来たのよ。」

「そうなのか。でも、どうして城に行くんだ?」

「……王様にご報告に行くのよ。」

アンジェラは、夢見るような甘い口調でそう言った。



「でも……報告って、何を?」

「……子供が出来たことを、よ。」

「えっ!?」



(子供…?)



子供って…一体、誰に出来たっていうんだ?
アンジェラか?
でも、それだったら誰の子なんだ?
俺達は、寝室を共にしているけれど、ただそれだけのことだ。
俺とアンジェラは、子供が出来るようなことは一度もしていない。



だったら……
まさか、マクソンか!?
アンジェラが一番仲良くしてるって言ったら、マクソンじゃないか?
あいつとの子が出来たから、俺と別れるって言うつもりなのか?
俺は、すっかり混乱してしまった。
そんな俺を見て、アンジェラは静かに微笑む。



「私たちの間に子供が出来たことを知れば、王様はきっとお喜びになられるわ。」

「わ、私達だって!?
そんなわけがないだろう。
俺達の間には何も…」

アンジェラのしなやかな手が、俺の頬を打った。