こうしていると、普通の家。でも私の家は特殊な事情がある。

私のお母さんとお兄ちゃんとは、血がつながっていない。私のお母さんは、私が小さい頃に病気で亡くなった。そして、私が小学六年生の頃にお父さんは再婚した。

最初は突然できたお母さんとお兄ちゃんに戸惑ったけど、二人とも優しく時に厳しく接してくれてすぐに仲良くなれた。

「血がつながっているとかいないとか、関係ない」

そうお兄ちゃんが言ってくれたのが嬉しかった。

こうしてこの家で私は、スーパーでアルバイトをしているおじいちゃんと、お花の先生をしているおばあちゃんと、造園の仕事をしているお父さんと、大衆食堂で働いているお母さんと、四月から大学生のお兄ちゃんと、犬のヨモギと一緒に暮らしている。

「あ、もうそろそろ行かないと……!」

私は食べ終わった食器を流しに置き、制服に着替えて歯を磨く。

「行ってきます!」

私がそう言うと、「行ってらっしゃい!」とみんな笑って見送ってくれる。胸がジンと温かくなった。