「大丈夫?息できる?」

私は何度も頷く。瑠璃ちゃんの目はとても心配げだった。

「さあ、行こう。次は私が立羽ちゃんを守る番だよ!」

瑠璃ちゃんと手をつなぎ、外へ飛び出す。一週間ぶりの懐かしい外の空気。私は泣きそうになるのを必死で堪える。

「あの男のことだから何をするかわからないなって思って戻ったらあんな風になっててびっくりしたわ。本当に戻ってよかった……」

瑠璃ちゃんの手が震える。私は「助けてくれてありがとう」と言った。

道を必死に走り、元彼氏たちから逃げる。そして偶然出会った人に警察に連絡してもらった。

「……やっと終わったんだね」

私の体が小刻みに震え始める。さっきまで平気だったのに、私はその場に座り込んでしまった。目からは涙があふれていく。

「うん、終わったんだよ。……一緒にいてくれて、本当にありがとう」

瑠璃ちゃんが私をそっと抱きしめる。私たちは、誘拐されてから初めて抱きしめあった。

パトカーのサイレンの音が、事件の終わりを告げる。私たちは強く抱きしめあった。