元彼氏がニヤニヤ笑いながら首を絞め続ける。私の頭の中には、家族や瑠璃ちゃん、そして友達のことが浮かんだ。ああ、走馬灯ってやつなのかな……。

苦しい、息ができない。それしか感じない。この苦しみから解放されたい。私はここで殺されるの?

嫌だ、そんなの嫌だ。生きたい。高校にせっかく合格したのに……。瑠璃ちゃんと仲良くなれたのに……。これから楽しいことが、きっとたくさんあったはずなのに……。

「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

窓が勢いよく開き、外の空気が入り込んだ刹那、私の呼吸は一瞬にして楽になった。空気が肺に入り込み、私は激しく咳き込む。

元彼氏がリビングの床に倒れ、気を失っていた。その横には荒い息をした瑠璃ちゃん。その手にはリビングの棚に置いてあった少し大きめの花瓶。瑠璃ちゃんは花瓶で元彼氏を殴ったのだ。

「る、りちゃん……」

私が涙目になりながら声をかけると、瑠璃ちゃんはハッとしたようにすぐに私の手を取った。