「じゃあ、そうしようかな……」

そう言ってまた瑠璃ちゃんは静かに泣き始める。私は瑠璃ちゃんの頰に手で触れ、「そうなったらとても嬉しい」と何度も言った。

瑠璃ちゃんとは、一緒に過ごすうちにまるで何年も一緒だったかのような不思議な感覚を覚えている。こんな人との出会い方は、もう一生訪れないだろう。

その時、扉がゆっくりと開く。私は慌てて瑠璃ちゃんから離れた。振り向くとそこには元彼氏の妹がお盆を持って立っている。

「……ご飯」

今日の夕食は、炊き込みご飯のおにぎりと野菜スティック。監禁されてから、私と瑠璃ちゃんは温かい手作りのご飯を食べたことはない。

「そういえば、この家って掃除をする音や料理する音を聞いたことがない。防音なのかな?」

野菜スティックを瑠璃ちゃんに食べさせ、私が呟く。瑠璃ちゃんが炊き込みご飯のおにぎりを手に言った。

「いや、防音じゃないよ。料理や掃除をこの家ではしてないんだ」

「えっ……。一ヶ月も掃除してないの?」