「あ、家事は凛那がやってくれるんだ?」
『うん。その代わり、歩空くんにはお手伝いして欲しいんだけど……』
果たしてこの人が素直に引き受けるのだろうか。
「いいよ。あ、じゃあお弁当は俺が作るよ。その方が凛那の負担も減るでしょ?」
え、えぇーっ!
歩空くんが料理?い、以外……
『歩空くんて料理つくれるんだ??』
すると、歩空くんは少しムッとして
「俺が料理作れるのおかしい?男が料理かよって思ったでしょ?もういい。毎日お弁当超デコってお揃いにしてやる!同居してるってバレちゃうよ?いいの?」
なんて、すごくむきになって反論してくるもんだから私は笑ってしまった。
『はははっ、歩空くんっむきになりすぎ!!』
なんか前は王子と呼ばれるだけあってクールで大人っぽいイメージがあったから意外に子供っぽい一面があるんだなぁって思った。
「ちょっ、やっと笑った!!」
『へ?』
「全然笑わないからそんなに俺との同居が嫌なのかなぁって思ってた。」
歩空くんがほんとにほっとしたような、優しい笑顔で見つめてくるから私は思わず
『そんなことないよ!』
と言っていた。
……あの優しい笑顔にほんのちょっとだけきゅんとしたのは内緒だよ?