「出ない…」

呼び出しの音だけが携帯から聞こえてくる

お腹の痛みは今落ち着いていて痛みを感じない

携帯を閉じ、病院へ行く支度を始めた

健太は仕事

そう自分に言い聞かせ、準備した大きなバックに保険証やお金、携帯の充電器などを詰め込んだ

ふと寝室に用意してあるベビーベットの前に立つ

私は期待と不安そして緊張が重なり合っていた

健太…

出産には間に合って…

そんな願いを胸に私は一人でタクシーに乗り病院へ向かっていた

タクシーの中であまりにもきれいな青空を眺めている

そんな青空が私に「頑張れ」と応援してくれているようで、不安だった気持ちが明るく照らされていった

大きくなったお腹をゆっくりゆっくり擦りながら

「行ってきます」

健太にそうメールを打って送信し、また空を見つめていた

赤ちゃん、もうすぐ会えるね