お腹がいっぱいになり、私も健太も満足してレストランを後にした

部屋に戻る途中

「散歩して行くか?」

「うん、行く」

ここに来て初めて外に出ることに心が弾む

「海まで歩こう」

ホテルの裏にあるビーチへ向かう歩道を私は懐かしむように周りを見ながら歩いていた

ここに来たのは何年前だろう

「懐かしい」

何も変わっていない海

夕焼けで空がオレンジ色に染まっている

そして海もオレンジ色に反射し、とてもきれい

「また亜美と同じ海を見られるなんて信じられないよな」

「うん。私もそう思う」

海に向かって立ちすくむ私と健太はその色鮮やかな海に見惚れていた

なぜか繋いでいる手をお互い強く握り合った

きっと、いつまでもこの海を忘れたくないって健太も思っているはず

そしてこの手を二度と離さないと…

私はそう心の中で誓っていた