「おはー!」

 いきなり泰晴が間に入って肩を組んできた。

「お、泰晴。おはよー!」

 ははっ。よかった。泰晴だ。救世主の登場にほっとする。思わず笑みがこぼれる。

「おはようございます。」
「今日は寒いな。俺朝からコート探すのに時間かかちゃったよ。」
「私はマフラー出してきたよ。」
「先輩たちずるいです。僕は何もしてません。」
「お?じゃあ、俺があたためてやる。」
「いや。結構です。梢先輩。お願いします。」
「えっ?」
「遠慮するなよ~。」
「なんで男に抱き締められなきゃいけないんですか~?」
「ぷっ!あははは!二人のハグ!いい!ぜひお願いします!」
「おいおい、優芽とめろよ。俺も男は嫌だ。」
「あははは!カシャカシャ」
「先輩、写真撮ってないで!とめてくださいよ。はははっ」

 3人の笑い声。楽しい。泰晴のおかげで普通に話せた。

「そいやあ、優芽。駅前のケーキ屋の割引券もらったんだけど行く?」
「え!行く行く!ケーキ!」
「甘いもの好きだもんな。土曜な。」
「やったぁ。あそこおいしいんだもん。何食べよう。」
「……」

 泰晴の登場に浮かれていたのとケーキのことで全然気づかなった。ゆうきゅんがずっと無表情でこっちを見ていることに。