趣味のものや配置を気にしなければならないようなものも置かれていないし、掃除もやりやすかった。思えば、昔から環の家は物が少ない気がする。
ふと壁時計に目を遣ると、もうすぐ6時になるところだった。
そろそろ料理の支度をしなければ、といろいろ買い出した食材を台所へ持って行こうとしたとき、不意に後ろから環に抱き締められた。
「わっ」
抱き締める力は、再会した時よりも、力が強い気がする。
「空港じゃあんまり長い間抱き締められなかったから。ここは俺の家だし気兼ねなく梓を抱き締められる」
後ろから目隠しされたときと同じように、耳元で環が低い声で呟く。抱き合うのも好きだけれど、後ろから抱き締められると、相手の顔が見えない分、他の感覚が一層敏感になってしまう。
私は黙ったまま荷物をその場に置き、環の腕に自分の手を重ねて、目を閉じた。環の息づかい、温度、筋肉の硬い感じ、今朝までなかったものが、一気に全部が伝わってきて、それに触れられるのが恋人である自分だけなんだと思うと、幸せな気持ちに包まれた。
ふと壁時計に目を遣ると、もうすぐ6時になるところだった。
そろそろ料理の支度をしなければ、といろいろ買い出した食材を台所へ持って行こうとしたとき、不意に後ろから環に抱き締められた。
「わっ」
抱き締める力は、再会した時よりも、力が強い気がする。
「空港じゃあんまり長い間抱き締められなかったから。ここは俺の家だし気兼ねなく梓を抱き締められる」
後ろから目隠しされたときと同じように、耳元で環が低い声で呟く。抱き合うのも好きだけれど、後ろから抱き締められると、相手の顔が見えない分、他の感覚が一層敏感になってしまう。
私は黙ったまま荷物をその場に置き、環の腕に自分の手を重ねて、目を閉じた。環の息づかい、温度、筋肉の硬い感じ、今朝までなかったものが、一気に全部が伝わってきて、それに触れられるのが恋人である自分だけなんだと思うと、幸せな気持ちに包まれた。

