被害者 上原シオリが勤務していたオフィスにお邪魔して、そこの会議室を借りていた。


ヒデさんの質問をそのまま中山さんにぶつけると・・

俺を手招きして会議室の扉を少しだけ開けた。


「あそこに座ってる人見えますか・・?」


「あの・・なんか部下みたいな子にすっげぇ怒ってる男ですか?」


「はい・・。あの人が永川主任です。

私達がずっとお世話になってた人がアメリカに転勤になって、

代わりに来たのが・・。」


「あ~ぁ・・あんな頭叩いて・・。
パワハラじゃねぇかよ。」


「男の人達にはみんなああやって・・。

私達女子には手は出さないですけど、

その代わりいつも強く“口撃”してくるんです・・。」


「上原さんもターゲットに?」


「私と違って上原さんはすっごく仕事が出来るので、

あまり怒られる事は無かったんですけど・・

でも永川主任はそれが逆に面白くなかったのか、

上原さんが進めてたプロジェクトに難癖つけてたりして、よく揉めてました・・。」




「・・・ちょっと待ってね。

ヒデさん、だそうです。」


『理解しました。彼女は相当フラストレーションが溜まっていたようですね。』






「小泉、何か聞いておきたい事は?」


「ありません。」


「・・・・何怒ってるんだよ?」


「怒ってません。」


さっきから黙って話を聞いていた小泉の方をふと見ると、

会議室の扉の隙間から、
結構キレ気味に永川を見つめていた。


ポーカーフェイスだと思ってたけど、
怒ると丸わかりだな・・。