「長さんのコーヒーってなんでこんなにも美味いんすか?」


「なんでか知らんけど親父がどえらい淹れるの上手いもんだで、俺も教わったんだわ。」


長さんの作業場を訪れる度、
いつもコーヒーをご馳走になる。


「そんな熱くないっすよ。」

「うるさい。」


超猫舌のハルカさんは、これでもかとフーフーしてようやく一口目を飲み始める。


「お前ら相変わらず仲良いな。」


“ガハハ”と笑う長さんが、
パソコンの画面をオレ達に見せてくれた。



「部屋の至る所や、被害者の衣服に中野の指紋が検出された。

ただ・・これだと弱いだろ?」


「そうっすね。

半同棲状態だったんだし、
毎晩ハードプレイしてたんだったら、

部屋とかシオリの服に指紋がついててもおかしくはないっすからね。」


「このDV野郎、性格だけじゃなくて、
頭もキレる男かもしれんわ。

首元に強く残ってた手形からは一切の指紋が検出できなかった。」


「手袋した状態で首を絞めたって事っすね。」


「今回は凶器が“手”だからなぁ。

包丁とかバットみたいな“物”だったら、

俺が最新科学を駆使して細胞1つでも見つけてやるんだけど。」


「うーーーん。ハルカさん、これ物的証拠を挙げるのは難しいんじゃないですか?」