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「え~もう1軒行きましょうよ~!」


「ダメ。もう私お金無いから。」


「大丈夫ですって!
次は私が出しますから!」


「後輩に奢らせるつもりはありません。」


「大丈夫大丈夫!お願いですよ~!
あと1杯だけ!!ね?」


「・・・・・・分かった。
でもホントにお金無いから1杯だけだよ?」


駅まで戻りながら・・リエが私の腕に絡みついてしょうがなかったので、

仕方なくすぐ入れそうなお店を探す。



「あ!そういえばカレがオススメしてきた店が確かこの辺に・・・。」


永川主任の愚痴⇒彼氏さんの愚痴⇒

最終的に彼氏さんのノロケへと発展していたリエが駅前通りを外れて、

少し人気が少ない脇道へと逸れる。


「リエ、走ったら転ぶよ。」


「え~っと・・あ!上原さーん!
ここここ!」


少し歩いたその先、小さく構えた和食小料理屋の前にリエが指さしながら立った。


「・・・ちょっと高そうじゃない?」


「お酒だけだったら大丈夫ですよ~。」


暖簾をくぐって、“ガラガラ”とガラス戸を開けたリエに続いてお店の中へと入る。