ある日、私、道宮羽凛 (みちみや ふわり)は、ごみ捨ての為に、1階にあるゴミステーションに向かって歩いていた。

バチン!!!!

なんだろう、いつもと違う道から行こうとしたのがダメだったのかな。

世間一般で言う修羅場。

そんなのに直面するなんて。



「最ッ低!!信じらんない!!!!」


痛々しい音と女の子の甲高い声が響き、関係の無い私もビクッとなる。


どうしよう、今いる場所は死角になってるけど、ここから動いたらバレるよね。


ちょっとこれは困るなぁ、、


「このクズ男!! あれだけ気のある素振りしてた癖に!!!ぶざけんのも大概にして!!!」


可哀想に。ここからでも分かるくらい女の子は目を真っ赤にしてる。…ていうかあの子、学年一美人って言われてるひなちゃんだ…。


あんな可愛い子振る人いるんだなぁ…


「ごめん、ひな」


あ、あれって…バスケ部の兵藤隼人(ひょうどう はやと)君だ。


あの甘いマスクといい、態度といい、ほんとに悪いと思ってるのか分かんないよね、っていうか遊び人っぽそう。

同じクラスの彼にあまり良い印象を持っていない私の顔は、多分凄いことになっているだろう。

あの笑顔は怪しかったもんなぁ、

なんて、喜んではいない。

…たぶん。にやけ気味になってるのは気の所為、だと思う。


「二度と近づかないで!!!」


意外とひなちゃんって強いんだなぁ。 と感心しながら走り去るひなちゃんの背中を眺めていると、兵藤君が振り返った。



「覗き見なんて、趣味悪いんじゃない?風舞ちゃん。」



何でこう、悪いことって連続するんだろう。