「海洋自然公園に指定されているキュリーズ島でも、ゾウガメと触れ合えるよ。たくさんのゾウガメが放し飼いにされていて、マングローブのウッドデッキやバーベキューを楽しめるんだ」

セーラの言葉に波瑠は、「I want to go(行ってみたい)」と呟く。セーラの目が輝いた。

「本当!?じゃあ明日行ってみようよ!」

「うん」

頷く波瑠を見て、セーラは「そういえば……」と呟く。

「波瑠っていつまでセーシェルにいるの?」

「一ヶ月」

「一ヶ月!?嬉しい!そんなにたくさん一緒にいられるなんて!」

明るい太陽を思わせるようなセーラの笑顔に、波瑠は私はどんな笑顔だったのかな、と考える。

あの日、ほとんどの感情を波瑠は失った。しかしそれ以前は、笑ったり泣いたりすることができたのだ。

波瑠はそっと自分の顔に触れた。

次に波瑠は、ビクトリアマーケットに連れていかれた。地元の人や観光客で賑わっている。

ビクトリアの市街にある賑やかな市場だ。

「一階は地元の人向けの商品が、二階には観光客のお土産が売られているよ」