豪邸で、波瑠はセーラの服を貸してもらった。白い生地に、鮮やかな花柄のワンピースだ。

「I think it really suits you!(よく似合ってる!)So cute(かわいい)」

派手なマキシワンピースを着たセーラは、波瑠をたくさん褒める。

「thank you(ありがとう)」

波瑠は無表情のままそう言うが、セーラは嬉しそうだ。そして波瑠の手を掴み、「行こう!」と外へ飛び出した。

セーシェルの首都・ビクトリアのメインストリートで小さな時計台を見た後、二人はヒンドゥー教寺院へと向かった。

「セーシェルって、イギリスやフランスの植民地じゃなかったっけ。どうしてヒンドゥー教なの?」

波瑠がそう訊ねると、セーラは「それはね〜」と言い説明を始める。

「セーシェルは、昔から海の交通の要所だったんだ。だから多くの民族が混じり合い、共存する地になった。インド系セーシェル人が建てたんだよ」