波瑠の顔は、バカンスを楽しむ人たちとは違い無表情だった。何の感情も読み取ることができず、人形のように波瑠はじっと海を見つめ続けている。

「……聞きたくない……。……見たくない……」

波瑠はそう何度も呟きながら、耳を塞ぐ。しかし、その顔は苦しげではなく無表情なままだ。

「Hey!(ねえ!)Why do n't you play with us?(僕たちと遊ばない?)」

波瑠に二人の男性が話しかける。金髪に白い肌。かなりのイケメンだ。しかし、波瑠は何も感じない。

「私、少し気分が悪くて……」

波瑠がそう言っても、男性二人は「俺たちと遊んだら気分もリフレッシュするよ!」と食い下がる。

何度もそのやり取りを繰り返し、疲れ切った波瑠の心はさらに疲れてしまった。この二人に付き合った方がいいのかもしれない、そう波瑠が思い口を開こうとした刹那、ギュッと波瑠は後ろから抱きしめられる。

「Sorry.(ごめんね)This is my friend(この子は私の友達なんだ)」