「They found a treasure mountain(二人は宝の山を見つけました)」

瞳が本を読み終えると、子どもたちは一斉に拍手をする。そして、「もう一回読んで!」と瞳に言った。

瞳は、この国に来てよかったと思いながら本のページをめくり、読み始めた。



瞳は、幼い頃から両親に厳しく育てられた。

英語やスイミング、習字にピアノなどたくさんの習い事に行かされ、瞳は友達とあまり遊んだことがなかった。

「友達と遊びたい」

そう瞳が言えば、二人は口を揃えてこう言った。

「お父さんとお母さんの言うことを聞いていれば、きっと幸せになれるから」

両親は瞳に、将来は一流の大学に通って一流の企業に就職してほしいと何度も言った。周りの友達が、パティシエやキャビンアテンダントなど自由に夢を描く中、瞳は親の期待に応えられるようにしていた。

親の言うことを聞くことがいいとあの頃の瞳は思っていた。